小児まひの痙縮・拘縮にショックマスターが有効?

体外衝撃波治療(ESWT)の新たな可能性とエビデンスに基づいたアプローチ

はじめに:小児まひにおける痙縮・拘縮の悩み

小児まひ(脳性麻痺など)をもつお子さんの多くが直面するのが、「痙縮(けいしゅく)」や「拘縮(こうしゅく)」といった症状です。これらは日常生活動作の制限、痛み、介助の難しさなど、本人とご家族双方の生活の質(QOL)に大きく関わる問題です。

特に痙縮は、筋肉が持続的に過剰収縮してしまう状態で、関節の可動域が狭くなったり、歩行や姿勢の保持が困難になったりします。長期間続くと拘縮に発展し、筋肉や腱が実際に短縮・硬化してしまい、可逆性が乏しくなる場合もあります。

こうした中で、リハビリテーション、ボトックス注射、装具療法、投薬などと並び、今注目されているのが**体外衝撃波治療(ESWT:Extracorporeal Shockwave Therapy)**です。


体外衝撃波治療(ESWT)とは?

体外衝撃波治療とは、もともと腎臓結石の破砕治療として開発された技術で、現在では整形外科領域において、慢性の筋腱障害(例:足底腱膜炎、テニス肘、石灰沈着性腱板炎など)の治療にも広く用いられています。

そのなかでも、拡散型衝撃波(ラジアルショックウェーブ)を用いた治療は、非侵襲的で副作用が少なく、局所の血流改善や組織修復の促進、痛みの緩和、そして筋緊張の緩和に効果があるとされます。

この**拡散型衝撃波を使った装置の一つが「ショックマスター」**です。


小児まひへの応用:痙縮に対する有効性が報告されています

ここ数年で、小児まひの患者さんに対して体外衝撃波を応用した研究が世界中で進められており、痙縮の軽減・関節可動域の改善・歩行能力の向上といった臨床的な効果が報告されるようになりました。

🔍 論文の一例:

El-Shamy SM, et al. (2014). "Efficacy of extracorporeal shock wave therapy on spasticity in children with cerebral palsy."
NeuroRehabilitation, 34(3), 415-422.

この研究では、脳性麻痺の小児に対して体外衝撃波治療を行ったところ、痙縮スコア(Modified Ashworth Scale)と可動域に有意な改善が見られたと報告されています。

また、以下のような論文も存在します:

Vidal X, Morral A, Costa L, Tur M. (2021). "Efficacy of radial extracorporeal shock wave therapy in spasticity: Systematic review and meta-analysis."
European Journal of Physical and Rehabilitation Medicine, 57(1), 18–28.

このメタアナリシスでは、小児だけでなく成人例も含め、痙縮軽減に対する有効性が統計的に確認されたとしています。


どのようなメカニズムで効くのか?

衝撃波は皮膚の上から体内にエネルギーを伝え、筋膜や腱、筋肉内部に作用します。考えられている作用メカニズムは以下の通りです:

  • 血流増加による組織の柔軟性改善
  • 筋肉内の異常な反射ループの遮断(痙縮の緩和)
  • 神経伝達物質や成長因子の放出促進
  • 痛みの緩和(ゲートコントロール理論)

これらの要素が複合的に作用し、筋肉の過緊張を和らげ、機能的な動きをサポートすると考えられています。


実際の施術について

ショックマスターを使用した施術は、非侵襲的かつ痛みが少ないため、小さなお子さまでも安心して受けられる治療法の一つです。

施術の特徴:

  • 1回あたり5~10分程度の短時間
  • 回数は週1~2回を目安に、症状や年齢に応じて調整
  • 他のリハビリや装具療法と併用が可能
  • 麻酔や薬剤不要

また、治療の即時効果を感じるお子さんもおり、リハビリのモチベーション向上にもつながるケースがあります。


ご家族の方へ:希望を持っていただくために

お子さまの痙縮や拘縮に対して、どのような治療法を選択するかは、ご家族にとってとても大きな決断です。「できるだけ痛みを少なく」「できるだけ負担をかけずに」効果的な治療を選びたいと願うのは、すべての親御さんの共通の思いだと思います。

ショックマスターを用いた体外衝撃波治療は、そうした思いに寄り添える新しい選択肢のひとつです。もちろん、すべての方に効果があるとは限りませんし、疾患の程度によって適応の可否も変わりますが、「効果が認められている」というエビデンスがあるからこそ、一度検討してみる価値があると私たちは考えています。


まとめ

  • 小児まひに伴う痙縮や拘縮は、生活の質に大きく影響する問題
  • 体外衝撃波治療(ESWT)は、非侵襲的で安全性が高く、小児への応用も可能
  • 複数の臨床研究で痙縮軽減の効果が報告されており、エビデンスも蓄積中
  • 痛みが少なく、短時間で施術可能なため、お子さまの負担も軽減できる

▶ ご相談・体験希望の方へ

当院では、ショックマスターを用いた体外衝撃波治療を実施しています。小児の痙縮・拘縮への対応も行っており、初めての方でも安心してご相談いただける体制を整えております。

ぜひお気軽にご相談ください。

ブログ監修者
院長 今泉友太
新都心アーバン鍼灸接骨院
院長 今泉友太(いまいずみ ゆうた) 

柔道整復師および鍼灸師の国家資格を所持し、整形外科で約10年の勤務経験を通じて、急性・慢性を問わず数多くの症例に対応してきた実績あり。

再発予防まで視野に入れた施術と明確な説明は、多くの患者様より高い信頼と評価を受けており継続的な通院にもつながっている。

また学生時代にラグビー部に所属していた経験から、ケガや故障に悩む学生やスポーツ愛好家の方々へのケガのケアやコンディショニングにも力を入れている。

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